|
根管治療の成功率は100%ではありません。 しかし、成功率を最も高くできる方法があります。 歯の根の治療は、どれだけ丁寧に行っても、医学的に100%の成功率にはなりません。 歯の内部は複雑で、完全にコントロールできない要素が存在するためです。 それは... ・解剖学的な複雑性 ・側枝、イスムス、フィンの存在 ・バイオフィルムの強固さ ・既存の治療のダメージ ・クラックの有無 ・歯周組織の状態 ・咬合力の問題 ・患者さまのメンテナンス状況 ・患者さまの免疫力、全身状態等 当院では、 日本歯科専門医機構認定歯科保存専門医、日本歯内療法学会認定専門医が マイクロスコープ、CT、ラバーダムを用いた精密な自由診療の根管治療を行っています。 これは保険診療とは異なる工程と精度で、 再発リスクをできる限り低く抑えることを目的とした治療です。 治療の限界を理解した上で、 最善の結果を求める方のための治療です。 1、患者さんは36歳女性。主訴は松戸市内の歯科クリニックで3回根管治療を受けるも、「お手上げ、無理」と言われて、大学病院を受診するも、CTは撮影したものの、「設備が不十分」と言われて、その後当院を受診された患者さんです。 頬側の歯肉にはサイナストラクトが認められます(腫れています)。 ![]() CTを撮影してみると、大きな病変がありました。 ![]() 根尖近くに何か残っている状態でした。 ![]() 根管内には破折したファイル(治療器具)が残っていました。 ![]() ファイル除去後、ファイルを試適し、根管形態、方向を把握します。 もうこの時点で歯肉の腫脹は消退しました。 ![]() 第4根管が見つかりましたので、近心頬側根管と繋げてよく洗浄しました。 ![]() 根管充填を行いました。 ![]() 最終補綴物(ジルコニアクラウン)を被せたところです。 術後半年経過していますが、歯肉の腫れはありません。 ![]() 2、患者さんは60代男性。主訴は右下の奥歯で嚙むと痛いとのことでした。 X線写真を撮影すると、右下第一大臼歯の遠心根周囲に透過像(骨吸収)が認められました。 ![]() 歯周ポケットは最深部で5�oほどの深さでした。 ![]() 根管治療を始めると、手前側の近心根に治療器具が残存しているようでした。 ![]() 治療器具を除去しました。 ![]() イオン導入後、根管充填を行いました。 ![]() 約1年経過後のX線写真です。 遠心根周囲の骨は再生しています。 ![]() 痛みはなくなったので、ジルコニアクラウンを装着しています。 ![]() 3、次に、根管の中をお掃除する際にファイルという待ち針のようなヤスリを使用したり、最近ではNiTiファイルが趨勢を占め、大変効率よく根の中を清掃できる時代になってきました。 しかし、これらは金属製。いつかは「ポキッ」と折れてしまいます。 これは仕方のないこと。血相を変えて「訴える!」という方もいるみたいですが、 そんなことしてもファイルは取れません。 取れるDr.が取ればよいだけのこと。 当院ではできるだけそのようなアクシデントは避けたいので、 ファイル類は使い捨てにしています。 ![]() 他院のDr.ががんばって治療した結果ですから、責められません。 しっかり引き継ぎたいと思います。 ![]() 上モノを外したところ、中は虫歯だらけです。 ![]() しっかり隔壁を施し、虫歯部分の軟化象牙質を徹底的に除去します。 ![]() 顕微鏡で見えるようになりました。ここからが勝負です。 ![]() 挟んで取りました。 ![]() X線写真でしっかり除去できていることを確認 ![]() しかし、そううまくいくものばかりではありません。 根が湾曲している場合、なかなか難しいのです。 ![]() 4、この患者さんの右下第一大臼歯の根尖には病変(透過像)が見られます。 これは今から7年前のケースです。 見えますか?すごく細いギザギザ。 ![]() 見えないものは取れないので、 私は再治療の患者さんには必ず行っている イオン導入を数回施しました。 (※この写真は他の患者さんです) ![]() その後根管充塞を行い、5年後のX線写真です。 この歯の根尖にあった透過像は 消失しました。 患者さんも全く痛みを訴えていません。 当院でルーティンに行なっている「イオン導入法」の力を まざまざと見せつけられました。 ![]() 2022年3月11日 ![]() この患者さんは食いしばりが強い患者さんでしたので、 少しでも多くの歯質が残っていたほうが有利です。 意固地になって細い治療器具を取ることに夢中になり、 健全歯質を失ってしまうことは避けたいところです。 しっかり患者さんの特徴を最初の診査等で把握することは とても重要になってきます。 5、これは2019年、松戸市内の歯科医院で難しいということで、「大学病院をご紹介しましょう」という話になっていたようですが、当院にいらっしゃった患者さんです。 根尖の病変(黒い部分)は太い神経、血管がある下顎管に近接しています。 あまり触らずに抜歯が無難な選択ですが、慎重に治療させていただきました。 ![]() 根管充填後、2年弱のレントゲン写真です。 根の先の黒い病変は無くなりました。 ![]() 2022年1月に受診された時、レントゲン写真を撮影しましたが、 特に再発していないようです。 ![]() 6、次のケースは歯肉の腫れが引かないとのことで、他県からいらっしゃった患者さんです。 赤の矢印の近心根は根管がなかなか見つからず、石灰化が進行している状態でした。 黄色の矢印は根尖病変ができています。 ![]() 粘り強く探索し、根管を見つけました。 この前の段階で歯肉の腫れは引いてきていました。 ![]() 根管充填後の画像です。 意外と側枝があるものですね。 この患者さんは治療後にとても体調が良くなったと実感されてました。 ![]() 7、患者さんは60代女性、主訴は左上の小臼歯の根元がいつも膨らんでいる。 大学病院で治療を受けたが、変化がないとのことでご来院されました。 ![]() X線写真を撮影すると、根尖部に透過像が認められます。 ![]() 治療開始すると、中にはかなり軟化象牙質(感染歯質)が残っていました。 ![]() イオン導入後、MTAセメントで根管充填を行いました。 ![]() 約2か月経過し、問題ないことを確認し、 ![]() ジルコニアクラウンを装着しました。 根管充填前に根元の膨らみ(サイナストラクト)は消退していました。 ![]() 8、この症例は40代女性、主訴は左側の前歯のところの歯肉が腫れてきたとの主訴でした。 術前の腫れていない状態の写真です。 ![]() 真ん中付近の歯肉が膨らんできました。 ![]() X線写真を撮影をすると、左側の前歯の横に透過像(病変)ができていました。 ![]() ファイルを入れて確認のX線写真を撮影しました。 主根管とは別のところに側枝があるようでした。 ![]() 主根管にもファイルを入れて確認のX線写真を撮影しました。 ![]() MTAセメントで根管充填を行いました。 しっかり側枝にも入り、腫れもなくなりました。 ![]() 腫脹もなくなりましたので、ジルコニアクラウンを被せました。 ![]() |